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因循苟且 いんじゅんこうしょ

「みんなに迷惑かけたな」
「いや、頑張って早く復旧してくれたおかげで、助かったよ」
システム部門の田中に声をかけられた。
あれから一週間、今は何事もなくシステムは稼働している。
「もう十年なんだ」
「何が?」
「いや、あのシステムでサービスを始めてから十年なんだ」
「・・・」
「特に大きなアップデートもせずに、大事に大事に運用してきた。そろそろ限界じゃないかと思うんだ」
「なるほど、化石だね」
「あのトラブルの後、対応策を検討して提出するように指示された。だから根本的にシステムを改修する必要があるってレポートしたんだ」
「ところがさ、まあ、実際お金もかかるから、なかなか上が決断してくれない。今がチャンスなのにな」
そうだ。大きなシステムトラブルがあったんだから、安定運用のために大幅なシステム改修を実施する。ユーザーに理解を得やすいじゃないか。
「ちまちま絆創膏を貼るみたいに、ちょっとした修正を加えてるだけじゃ、時代遅れになるばっかりだし、そもそも運用自体が難しくなる。これ以上は無理だよ」
「無理。。。か」
「それがなかなか伝わらない。今すぐに決めてもらいたいのに」
そう言ってシステム室に戻っていく田中の背中が寂しく見えた。
因循苟且
古い習慣や方法にこだわって、その場しのぎの手段をとること。
決断力に欠け、ぐずぐずためらうさま。

尸位素餐 しいそさん

月曜日の朝から最悪だった。
ユーザーから、サービスの利用ができないというクレームの電話がざんざん続いている。
サービス復旧のめどは立っていない。。。
午前10時。
ゆったりとした足取りで常務がオフィスに入ってきた。
「おはよ〜」
超ご機嫌。
ここでなにが起こっているか知らないのか。
「昨日はさ〜B建設の社長とゴルフ〜疲れた〜」
「あれ〜?みんなどうしたの?えっ?システムトラブル?そうなの〜」
他人ごとか。
いやいや、そんな訳ない。
あいつはいつも言っている。
「君らのね、仕事のケツ拭くのが僕の仕事なの。僕はさ、そういうときのためにいるの。ね。」
会社の一大事だ。
大口のユーザーからもクレームの電話が矢継ぎ早にかかってくる。
「常務、安丸商事の近藤社長からお電話です。」
「え〜??いないって言ってよ〜どうせクレームでしょ〜」
おいおい、だからそういうの対応してくれよ。。。
「あっ、高橋君、ちょっと来てよ」
「はい」
ーどうした。
「あのね〜、ネットが繋がらないの。どうして?」
ーおっ、クレームのメールに返信でもしてくれるのか。
「エラーがでますか?」
「うーん。うまく送信できないんだよね。」
「ちょっと見せてください。」
ーあーーーん?旅行申込のフォーム?????
「あ、これこのサイトの問題だと思いますけど。」
「そうなの〜。じゃ、仕方ないね〜。電話してみよっかな。」
ーじゃなくてさ、今、うちが大変なんだから。
てか、机の上、おまえそれ、柿の種か。
ポリポリ食ってんじゃないよ。
「ねね、いつ頃復旧する予定なの?」
「まだちょっとわかりません」
「わかりませんじゃ困るのね〜。だいたいのめどでいいからさ。で、ユーザーからの電話、回さないでよ。めどもたってないのに、電話出られないでしょ」
「はい。そのようにみんなに伝えます。」
「頼んだよ〜。」
ーあんた、俺の何倍給料貰ってるんだよ。
尸位素餐
ある地位にいて職責を果たさずにむだに禄をもらっていること。